実録!熱き選考委員会の夜
復活上映から1周年を迎え、これまで上映された93本の作品を対象に、第1回「コミュニティシネマ大賞」を選び出す。
この映画好きとしては見逃せないチャンスに我先に手を上げたシネファンクメンバー7名。7月23日金曜日の熱い夜、市内某所にてメンバーによる選考会が開かれた。
予想どおり自論を譲らない映画マニアたちに、議論は白熱!その選考の内幕をちょっぴりご紹介。(とても全部は紹介できません…)
まず<観客賞>は、『白い巨塔』が1位を獲得。以下『砂の器』『それいけ!アンパンマン ルビーの願い』と続く。テレビドラマ版が高視聴率を獲得した作品が
多くの観客を動員した。やはりテレビの影響力は大きい。
「企画力の勝利だと思う。今の流行りをとらまえてこのタイミングで上映したことで、過去の名作に再び光を
当て、懐かしく思う人、初めて見る人の両方の世代を取り込むことができた。今後シネマホールに新たな観客を呼び込むヒントになるかも」
(アンクルみたに)
続いて<ロビー賞>は、ダントツぶっちぎりで『ラブストーリー』が1位に輝く。シールをペタッと貼る投票方法も好評を得ていた模様で、なんと得票数85!
この作品は、熟年女性に人気があったようだが、この選考会でオジサン好みの映画でもあることが判明。理由は
「何と言っても、あの三つ編みのおさげがたまらん」
(やっさん)
のだとか。メロドラマのツボを押さえたストーリーに、中年以上の人が失った青春の日々を思い起こし、ドラマチックな恋人たちの半生にカタルシスの涙を
流したのか。韓国映画、強し!
<シネファンク賞>は、いわゆるF1方式の傾斜配点が功を奏し?意外な作品『トーク・トゥ・ハー』が1位に。このアルモドバル作品は
賛否両論、女性の評判が芳しくないらしく、
「冷静に考えたら気持ち悪いかな…」
との声に、
「冷静じゃなくても、キモチ悪い!」(カベヘン・唯一女性の選考メンバー)
と一刀両断。しかし、冒頭のピナ・バウシュの芸術性の高いダンスシーンに度肝を抜かれ、カエターノ・ヴェローゾの「ククルクク・パロマ」の歌声にもうっとり
。劇的な結末を迎えるよくできたシナリオに評価が集まったようだ。2位のブラジル映画『シティ・オブ・ゴッド』は、見た人すべてが口を揃えて
「おもしろかった!カッコよかった!」
3位には希望と再生の物語『クジラの島の少女』が。
以上3つの賞に入賞した作品に、選考メンバーの審査を加味して選ばれた<コミュニティシネマ大賞>は?ジャジャーン、『ジョゼと虎と魚たち』だ!3つの賞すべてに
上位入賞を果たした本作品が、総合点で他を引き離した。タイトルやチラシから受けるのとは違う印象を残した陰影のあるストーリー。
「最初に乳母車に乗ったジョゼの写真を見たとき、ホラーかと思ってん」(やっさん)
それはないでしょ〜。若者を中心に人気の高かったこの映画について、
『ラブストーリー』と比較した恋愛のカタチ論が、オジサンと若者のあいだで繰り広げられた。
「ジョゼは自分の中において見れるけど、ラブストーリーは客観的にしか
見れない。ジョゼは、治りかけたカサブタを触れば痛いとわかっているのに触ってしまう、そんな自虐的な痛さに共感する作品」(えびてつ・まだ20代)
「別れ方が唐突…」
というオジサン意見に
「それがいいんじゃないですか!」
と反論する若者軍。
「こうがあって、こうなって、こうなる…というじゃなくて、何か訳がわからんけどこうなって
しまった、というのが今の現実なんだから」(CHET!・まだハタチ)
ともあれ、バランスよく多くの支持を得たこの作品が栄えある第1回大賞に。
勝手に賞状を贈らせていただきます。日本映画の未来も明るい!
さて、最後に待ち受けていたのが<選考委員特別賞>。あれも言いたい、これも言いたいの選考委員たちが、独断と偏見で、喧々諤々と議論をつくして決定する、
まさに特別な賞。まず、どんな作品にこの賞を与えるべきか、から議論は始まった。7人の審査員のイチ押し映画は、見事にすべてバラバラ。それぞれの作品への熱い思い
はあるが、シネファンクを代表した選考委員の権威をもって、特別賞に値する作品を選び出さねばならない。
「シネファンク推薦として上映され、好評を得た『藍色夏恋』がふさわしいのではないだろうか?」
「監督が来場していただけた作品はどう?」
う〜ん、みんなの作品への強い思い入れのなかでは、ややインパクトが弱い…。この映画館
でたくさんの映画を見続けてきたメンバーたちだからこそ言える、滋賀会館シネマホールにふさわしい作品を選ぶべきじゃないだろうか。コミュニティシネマたるシネマホール
らしさって何だろう?
「シネコンにはかからないような、いわゆるミニシアター系…」
「独自の映画館にふさわしく、独自のカラーを打ち出した作品」
「特別企画として上映されたリバイバルでもいいんじゃないか」
「動員が少なく注目の少なかった秀逸な作品に、再び光を当てるような…」
等々意見が飛び出す。そんな観点に照らし合わせて考えて
みると、『シティ・オブ・ゴッド』と『ギャラクシー・クエスト』の2作品が急浮上。
「『シティ・オブ・ゴッド』は、動員は少なかったけど、見ればたいそうおもしろい映画だ。エンタテイメントとしてすぐれている」
「映像がきれいだった。音楽もよかった」
「カメラもよかった。こどもの真っ白な歯が印象的だったよ」
「アカデミー賞でもノミネートされたし、決してシネコンにはかからないようなブラジル映画が特別賞というのもいいんじゃないか…」
そんな流れにストップ!をかけたのが『ギャラクシー・クエスト』イチ押しのジェット氏。この作品は、昨年夏、快進撃を遂げていた星野阪神のスローガン「ネバー・ギブアップ!ネバー・サレンダー!」の元ネタとして、タイガース応援企画と
銘打って上映された。
「この映画は、ほんとに大人からこどもまで、すべての人が予備知識なくても楽しめる。スター・トレックのパロディ映画というだけではない、魅力ある
作品。B級とはいいながら、脚本もしっかり作られているし、映像にもお金がかけられいるし、決して手を抜いていない。他の受賞作品と並べても遜色はないと思う」
「そうそう、パロディだけど、映画への愛があり、敬意をもって茶化している。感動するし、泣いても不思議じゃない!」(CHET!)
みんなが楽しめる映画か?みんなに薦めたい映画か?と問われると、『シティ・オブ・ゴッド』は分が悪い。
「『シティ・オブ・ゴッド』は、命は大切という机上の道徳が吹っ飛ぶようなリアルなブラジルが描かれている。キレイ事だけではやっていけない、
ということを考えさせられる。考えることを強いられる、ある意味しんどい作品」
(やっさん)
シネファンクとしては、たくさんの人に映画を見る楽しみや素晴らしさを感じてほしい、映画館に来てスクリーンで映画を楽しんでもらいたい、そんな気持ちが
次第に高まっていくなか、最終的に『ギャラクシー・クエスト』を特別賞に選出した。
以上で4つの賞が出揃い、最後はシャンパンで乾杯!復活再生から1周年を迎え、
これからも続々楽しみな作品が目白押しの滋賀会館シネマホール。第2回に向けてまた1年間せっせと映画を見よう、また、多くの人に映画を見に来てほしい、そんな想いを
各々が胸に灯して杯を重ねたことだろう。お疲れ様でした!
ライター/カベヘン
第1回コミュニティシネマ大賞選考委員メンバー
アンクル(選考委員長)
性別/中性●年齢/GOGO●映画歴/色気づいてからずっと●得意分野/西部劇●好きな監督/サム・ペキンパー
●好きな俳優/ヘンリー・フオンダ、ジャック・ニコルソン●選考にかける意気込み/早く終わって帰ろう。
ヴィアン
性別/男●年齢/50+α●映画歴/そんなん考えたことない●得意分野/これも意識したことない。●あえて言えば、音楽?●好きな監督/クリント・イーストウッド
●好きな俳優/ジュリエット・ビノシュ、クリント・イーストウッド●選考にかける意気込み/参加させてもらうだけで存外の喜びにござります。
ジェット
性別/男●年齢/40代半ば●映画歴/初めて一人で観たのが「砂の器」●得意分野/浅く色々
●好きな監督/特にナシ●好きな俳優/リチャード・ドレイファス、西田尚美●選考にかける意気込み/シネマホールらしさを見逃さない!
やっさん
性別/男●年齢/42歳●映画歴/37年?たぶん5歳の時長浜で「サンダ対ガイラ」を見たのが初めて。
●7歳で大津に越してから高校までは滋賀会館、教育会館、大黒座、京都等で見まくる。小学生時にはすでに一人で映画館へ。大学からは最低週に一回は劇場で見るというペースを続ける。
面白そうな映画は絶対に映画館でしか見ないという偏屈。●得意分野/全くの無節操(ただし、いわゆるハリウッド系のロードショーを避ける傾向あり)
●好きな監督/う〜ん、一番たくさん作品を見てるのは黒澤明だが…。●好きな俳優/本当っにこういう質問苦手なんだよなあ…。●選考にかける意気込み/悩みまくってやる!
えびてつ
性別/男●年齢/20代最後の夏●映画歴/5歳のとき「ウルトラ6兄弟対怪獣軍団」を観て、初めて見るスクリーンのでかさにおしっこをちびる。
●得意分野/アジア映画・バカ映画●好きな監督/王家衛●好きな俳優/張曼玉・梁朝偉●選考にかける意気込み/考えるな!感じろ!!
CHET!
性別/男●年齢/20歳●映画歴/初めて観た洋画は「マスク」。その後ブランクがあり、近所にできたシネコンで観た『もののけ姫』から没入。
●得意分野/何でも観るよう心掛けています。●好きな監督/コーエン兄弟●好きな俳優/ショーン・ペン●選考にかける意気込み/気合入れて挑みます!
カベヘン
性別/女●年齢/30代二度目の夏●映画歴/初めて自分でお金を出してみた映画「愛旅立ち」での「マッチ」と「明菜」のキスシーンの生々しさに「この二人できてるな」と小学生ながら確信。
●得意分野/ミニシアター系●好きな監督/アキ・カウリスマキ●好きな俳優/ジョニー・デップ/シャーロット・ランプリング●選考にかける意気込み/桃レンジャーのような存在だから。