第1回コミュニティシネマ大賞  2004年6月。おかげさまで、滋賀会館シネマホールは公設民営による新しいかたちで復活再生してから1周年を迎えました。 この1年間でシネマホールを訪れてくださった映画ファンは約2万人。上映本数は93本にのぼりました。
 滋賀会館シネマホールで映画を楽しみ、映画から広がるエキサイティングな街づくりをめざすシネマホールファンクラブ(通称シネファンク)は、 復活1周年を記念して、この1年間に上映したすべての作品のなかから、ベストな作品を選び出し、「コミュニティシネマ大賞」を贈ることにいたしました。
栄えある第1回大賞は「ジョゼと虎と魚たち」に決定しました!

第1回コミュニティシネマ大賞各賞受賞作
ジョゼと虎と魚たち コミュニティシネマ大賞ロゴ
コミュニティシネマ大賞
「ジョゼと虎と魚たち」
2003年/日本/116分
監督:犬童一心/原作:田辺聖子/脚本:渡辺あや/音楽:くるり
出演:妻夫木聡、池脇千鶴、新井浩文、上野樹里、江口徳子
【ストーリー】大学生の恒夫と足の不自由なジョゼとの不思議でピュアな世界。 恋をしたことがある人なら誰でも味わったことのある甘く切ない思いの記憶を呼び覚ます。
田辺聖子文学初の映画化を、純粋さと存在感をあわせ持つふたりの恋人役が表現する、100%恋愛物語。
【講評】各賞の上位に必ずあがってきており、その評価通りバランスのとれた作品である。 田辺文学初の映画化となった本作は、脚本が主人公を演じた妻夫木聡、池脇千鶴の二人にあて書き された為、原作とは違ったより「今」に近い「リアル」な恋愛世界を作り出すことに成功している。 そしてこの「リアル」さに、ストーリー重視派の世代はものたりなさを感じたようだが、まさに今 同時代を生きている若者世代にとっては、それが自分の中の恋愛にまつわるやるせないような既視感 を呼び起こし、作品への共感に結びついた。
 また、作中の恒夫という男は、言ってしまえばただの身勝手で、快楽主義、刹那主義的な「若者」 なのだが、さわやかで、イヤミのない妻夫木聡がこの役を演じる事で、ツマブキ君なら何をしても許せる、 などという女性の支持が、また、負けん気が強く、言う事も辛辣ながら、かわいらしい外見と独特のはか なげな声で、弱さや脆さをみせる池脇千鶴には男性の支持が集まり、各世代、どちらの性別にも「ウケ」 どころがあったことがその集客と人気につながった。
白い巨塔 観客賞ロゴ
観客賞
「白い巨塔」
1966年/日本/150分
監督:山本薩夫/原作:山崎豊子/脚本:橋本忍/音楽:池野成
出演:田宮二郎、小川真由美、東野英治郎、滝沢修、船越英二
【ストーリー】原作は昭和38年から山崎豊子が「サンデー毎日」に連載した同名小説。タイトルバックの手術の映像にモノクロながらもギョッとさせられる導入部から、 食道外科の若き権威財前五郎の野心家ぶりが、はまり役田宮二郎(本名:柴田吾郎)の好演でもって描かれる。恩師東教授(東野英治郎)の後任争いを焦点に、 ビー いわゆる象牙の塔の内部がえぐられるストーリーは、見るものを興奮させた。
五郎が買収、脅迫、あらゆる権謀術数を用いて教授の地位を手にする前半、その教授選の最中に同期生である里見助教授(田村高広)の依頼で手術した胃癌患者 に誤診をして、遺族に訴訟を起される後半とスリリングな展開は息をつかせない。
【講評】ドラマ「白い巨塔」(唐沢版)が高視聴率をかせいでいた時期にかぶっての上映。時勢をよんだ企画力の勝利。 田宮版をなつかしむ世代と唐沢版で白い巨塔を知った世代の両世代を取り込んだ結果が集客につながった部分も大きいが、作品自体の質も高く映画 としての魅力もそれに貢献している。
また、同時期に上映された「砂の器」も本賞2位にランクされており、こういった作品の上映が今後のシネマホール の企画運営にとって新たな観客層を呼び込むヒントとなりうる点にも注目が集まった。

観客賞上位作品は以下の通り。
(観客賞:観客総動員数と各回観客平均数から上位を決定)
  1. 「白い巨塔」
  2. 「砂の器」1974年/日本/監督:野村芳太郎
  3. 「それいけ!アンパンマン ルビーの願い」2002年/日本/監督:矢野博之
  4. 「ジョゼと虎と魚たち」2003年/日本/監督:犬童一心
  5. 「ラブストーリー」2003年/韓国/監督:クアク・ジェヨン
ラブストーリー ロビー賞ロゴ
ロビー賞
「ラブストーリー」
2003年/韓国/129分
監督・脚本:クァク・ジェヨン/音楽:チョ・ヨンウク
出演:ソン・イェジン 、チョ・スンウ 、チョ・インソン 、イ・ギウ 、イ・サンイン
【ストーリー】2003年、女子大生のジヘは、演劇部の先輩サンミンに恋心を抱いていたが、同じく彼に想いを寄せる友人の スギョンからEメールの代筆を頼まれ、複雑な気持ちでそれを引き受けてしまう。そんなある日ジヘは家の中で小さな箱を見つける。 その中には、母が時折読み返しては涙を浮かべていた1冊の日記帳と何通もの手紙があり、ジヘはそれらに目を通し始める。
 時はかわって1968年、国会議員の娘であるジヘの母ジュヒは、夏休みに片田舎へ赴き、そこで出会った少年・ジュナに、村外れのお化け 屋敷へ行ってみたいが連れて行ってくれるかとたずねる。ジュヒに心惹かれていたジュナはふたつ返事でこれを引き受け、舟を漕いで噂の 屋敷へやってくるが、突然の夕立で止めていた舟が流されてしまう。思いがけず長い時間を過ごす中、二人は初めての恋におちていた。 ところが、雨に濡れて病気になってしまったジュヒは街に連れ戻され、ジュナは彼女の行方が分からないまま高校生になっていた。そんなあるとき・・・。
【講評】ロビー投票の期間中に上映されていた作品とはいえ、群を抜く85もの得票数での受賞。
韓国ドラマブームの影響だけでなく、メロドラマの基本をおさえた脚本、ドラマチックなストーリー展開、ノスタルジックな情景(制服、お下げ髪、手紙) などが主に中年世代の心を捉えた。
 鑑賞後シネマホールロビーで赤丸シール3枚をラブストーリーに貼るということがひとつの「現象」にもなった作品。

ロビー賞上位作品は以下の通り。(ロビー賞:観客投票数から決定)
  1. 「ラブストーリー」
  2. 「戦場のピアニスト」2002年/ポーランド・仏/監督: ロマン・ポランスキー
  3. 「ジョゼと虎と魚たち」2003年/日本/監督:犬童一心
  4. 「クジラの島の少女」2002年/NZ・独/監督:ニキ・カーロ
  5. 「WATARIDORI」2001年/仏/監督:ジャン・ドゥ・トレゴマン
トーク・トゥ・ハー シネファンク賞ロゴ
シネファンク賞
「トーク・トゥ・ハー」
2002年/スペイン/113分
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル/製作総指揮:アグスティン・アルモドバル/音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ハヴィエル・カマラ 、ダリオ・グランディネッティ 、レオノール・ワトリング 、ロサリオ・フローレス 、ジェラルディン・チャップリン
【ストーリー】「深い眠りの底でも、女は女であり続ける。昏睡状態となり眠り続ける、バレリーナと女闘牛士。 話しかけ、触れられた一人の女にだけ、愛の奇跡が訪れる、、、。」 病室のベッドに横たわる若く美しい女性、 バレリーナのアリシアは交通事故で昏睡状態に陥ったまま深い眠りの底にある。その彼女に毎日語り続ける男性、 看護士のベニグノは4年間彼女を献身的に世話し続けていた。そんな中、競技中の事故で昏睡状態となった女闘 牛士のリディアが同じクリニックに運び込まれる。しかし彼女の恋人マルコは突然の事故になすすべもなく、 ベッドの脇で涙にくれていた。ベニグノはそんなマルコに、昏睡状態にあっても彼女達に声は届いているのだと諭す。 マルコはそんなベニグノに興味をもつようになり、互いの境遇を語り合ううちに二人は友情を深めていくのだったが…。
【講評】シネファンク投票で1位評価10点を2票とったのはこの作品のみで、その評価に値する完成度の高い作品。 オープニングとエンディングにピナ・バウシュの「カフェ・ミュラー」の舞台を起用している点やカエターノ・ヴェローゾの 歌と演奏での出演といいある意味通好みな演出が光る。また、4人の主人公がそれぞれのキャラクターを演じきっており、 4人の内誰かの心情に共感できるという意見がある一方、生理的な嫌悪で感情移入がしにくくストーリーにに入り込めないという意見もあった。

シネファンク賞上位作品は以下の通り。
(シネファンクメンバーによる投票から決定)
  1. 「トークトゥーハー」
  2. 「シティ・オブ・ゴッド」2002年/ブラジル/監督:フェルナンド・メイルス
  3. 「クジラの島の少女」クジラの島の少女2002年/ニュージーランド・独/監督:ニキ・カーロ
  4. 「ジョゼと虎と魚たち」2003年/日本/監督:犬童一心
  5. 「息子のまなざし」2002年/ベルギー・仏/監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
ギャラクシー・クエスト 特別賞ロゴ
選考委員特別賞
「ギャラクシー・クエスト」
1999年/アメリカ/102分
監督:ディーン・パリソット/製作総指揮:エリザベス・カンティロン/脚本:ロバート・ゴードン 、デヴィッド・ハワード/音楽:デヴィッド・ニューマン
出演:ティム・アレン 、シガーニー・ウィーヴァー 、アラン・リックマン 、トニー・シャルーブ 、サム・ロックウェル
【ストーリー】伝説の人気TVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」は番組が打ち切られて20年、レギュラーメンバー俳優陣も今やしがない営業回りの毎日だ。 今日も熱狂的ファンの待つ会場でのおきまりのファンサービス。ところが、この会場には熱狂的ファンを超えた、マジメなやつらが紛れ込んでいた!!
 このサーミアンというエイリアン達はTVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」を宇宙で傍受、彼らの歴史ドキュメンタリーとして見ていたというマジメな視聴者だったのだ。 そしてそのマジメな勘違いは宿敵エイリアンからの攻撃をうけた彼らを、真の指導者と助けを求める地球への旅へと向かわせた。かくして、ただのしがないTV俳優たちは、 監督も脚本も心の準備も、ましてや宇宙の知識など全くないまま、本物の宇宙空間へと飛び出して行くのであった。
【講評】ハリウッドアンチメジャーの立場にありながら、脚本もしっかり作られており、ただのパロディー映画という枠組みではくくれない魅力がある。 涙あり、笑いありのストーリー展開は大人から子供まで予備知識なしで楽しめ、通には通の笑いどころもしっかりとおさえられている。また、宇宙を舞台に設定している点など、 ぜひ映画館のスクリーンで楽しんでいただきたい作品でもある。

選考委員特別賞とは
 選考委員特別賞は、コミュニティシネマたる滋賀会館シネマホールにふさわしい、日の目を見ていない作品に光をあてる、多くの人に映画というもののすばらしさを伝えられる などの観点から、対象作品のうち特に受賞に値する作品について、選考委員7名(シネファンクメンバー)による喧喧諤諤の議論の結果決定される賞です。今回は、対象作が 最終的に「シティオブゴッド」と「ギャラクシークエスト」の2作品に絞り込まれましたが、結論が出ず、選考委員の挙手による決選投票で「ギャラクシークエスト」が選考委員 特別賞に決定されました。


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